著者:及部 敬雄
モブプログラミングしやすいスペースを作ろう。
「ここをチームのベースキャンプ地とする」
チーム全員で、同じ仕事を、同じ時間に、同じ場所で、同じコンピューターで行うモブプログラミングという手法を活用するチームが増えている。
常にモブプログラミングを用いて仕事をするチームもあれば、ワークショップ形式でたまにモブプログラミングをするチームもある。モブプログラミングの活用の仕方はチームによって様々だ。
個人の席を活用してモブプログラミングを行う場合、ディスプレイが小さくて文字が見えづらかったり、人の往来を妨げてしまうことがある。
会議室や会議スペースを活用してモブプログラミングを行う場合、レイアウトによっては参加者の身体の向きが斜めになってしまったり、ディスプレイまでの距離に個人差が出てしまう。短時間であれば問題ないが、このような状況下で長時間モブプログラミングを行うと身体的なストレスを感じてしまう。また、利用場所によっては、レイアウト変更などで時間がかかることもある。
モブプログラミングに特化したスペースや設備がなくても “我慢して” モブプログラミングを行うことはできるが、仕事に集中できる環境とは言えないかもしれない。環境が整っていないことがやらない理由・やらなくなる理由になってしまうことが最大のProblemだ。
モブプログラミングに適したスペースを用意し、チームが気軽に利用できるようにしよう。特に、
- モブプログラミングをしようと思った時にすぐに利用できること
- 大きくて解像度高いディスプレイ(「大型モニター」)
- 各参加者とディスプレイとの距離が一定になるレイアウト
- コミュニケーションを活性させるホワイトボード(「ホワイトボード」)
- 糖分を補給するおやつ神社(「おやつはあなたと共に」)
が重要なファクターだ。
https://speakerdeck.com/takaking22/head-first-mobprogramming?slide=24 より
できたスペースがチームのベースキャンプにしたくなるような快適な環境になるとよいだろう。
モブプログラミングしやすい快適な環境があることで、長時間であっても少ない疲労で持続可能な仕事をすることができる。仕事を妨げる要因を少しでも減らすことで、取り組むべき仕事に集中し、生産的な活動をすることができる。
「やろうと思った時にすぐにはじめられる環境がある」というのは心理的障壁を下げるという言葉以上の影響力がある。組織としてモブプログラミングをすることを受け入れているというメッセージを伝えることができ、仕事に合わせて仕事のスタイルや環境を選択する自己組織的なチームや個人の醸成につながる。
また、チームがモブプログラミングをしている様子は人の目を引く。「チームの看板」「見学を推奨する」などと組み合わせることで、組織内外へ刺激を与えることができ、チームの社内マーケティング、組織文化の醸成、採用などの波及効果も期待できる。
Hunter Industries(モブプログラミング発祥の地)
[A day of Mob Programming 2016 より]
IMAGICA Lab. ではモニターとホワイトボードを常設したモブプログラミングスペースを用意している。ここは壁や間仕切りがないオープンスペースとなっており、必要に応じて座席にいる他のメンバーに声をかけ見てもらったり、通りがかりの人なども興味があれば覗ける環境としている。
NTT CommunicationsのLean Agile Baseでは、モブプログラミング用のスペースを常設している。障害対応もこの場で行われ、対応状況を見ながら顧客に状況を伝え、また顧客からのフィードバックをエンジニアに伝えることで素早い対応と解決を可能にしている。
[NTT Communications Lean Agile Base モブプログラミングスペース]
永和システムマネジメント Agile Studio Fukui のモブプロミング専用スペースでは、大きなディスプレイを2枚配置し、スタンディングでのワークを想定したレイアウトとなっている。
[Agile Studio Fukui のモブプロミング専用スペース]
デンソー新横浜オフィスのモブプログラミング専用スペース。プロジェクトごとに部屋がわかれているので、それぞれの仕事スタイルに合わせて必要な設備を整えている。
[デンソー新横浜オフィスのモブプログラミング専用スペース]